65歳定年に備えた人事制度と中高年の賃金抑制

(1)賃金カーブの全体的な見直し

定年後65歳までの雇用義務付けに備え、給与原資を確保するため、現役世代の賃金水準を抑制することが不可欠となってきた。いわゆる 「賃金カーブ抑制」である。

企業の人件費を抑えながら雇用を維持するには、「賃金カーブの全体的な見直し」が避けられない。

そのためには、中高年を中心とする現役世代の賃金を抑制することが必要となってきている。

中高年のモチベーションを維持して、いかに納得感のある能力主義賃金制度を設計・構築するかが、企業の重要な緊急の経営課題となっている。

 

(2)「仕事・役割・貢献度を基軸とする賃金制度」の再構築

今までの年功的運用の「職能資格等級制度」から脱却し、若くても能力あ る人材を抜てきし、積極的に責任ある仕事を任せる人事制度の構築が、今、求められている。

しかしながら、企業の現状は、職能資格制度が年功的に運用されてきたため、中高年層の肥大化と共に高資格者が増大し、高コスト体質となっている。

そのため、高資格と格付けされながら貢献度が低く、高賃金とその人の成果にギャップが生じているケースが多い。

このような状態を解消するためには、「仕事・役割・貢献度」を基軸とする賃金制度の導入が急がれている。

この賃金制度は、「役割能力等級制度」に基づく賃金制度で、
賃金の基本要素として、社員の能力の伸長度を反映した「能力給」と、担当する仕事の重要度や職責を反映した「役割給」、個々の社員の成果としての「業績給」の3つが挙げられる 。

これらを その企業の実態に応じて組み合わせた「複合型賃金体系」として設計・運用する賃金制度である。

 

(3)「役割能力等級制度」の設計

「役割能力等級制度」とは、役割(職務責任)と能力(職務遂行能力)をベースにした、ブロードバンド型のわかりやすい能力・成果主義人事制度である。

従来型の職能資格制度の現実にそぐわない点を見直すと共に、アメリ カ型の職務の考え方を取り入れた新しいタイプの能力・成果人事制度である。

従来の職能資格制度を見直し、社員の 職務遂行能力と共に、社員の役割を複合的にとらえて、体系化した人事制度である。